2010年度運動会追想禄 準備から当日の様子まで


2011年2月6日(日)にノースブリッジのグラウンドを借りて、日本人会運動会を開催いたしました。 晴れ渡る快晴の空の下、補習校に通う生徒さんを初め、多くの人が汗をかき、楽しいひとときを過ごせ たのではないかと思います。

しかし、私としては、新しいこと、といっても対して大げさなことでもないのですが、それでも新 しく何か物事をするというのは大変な苦労が伴うことを、実行委員長として身にしみた運動会でした。 前年度運動会を担当したM役員に「まさか、今年も同じ競技をするわけではないですよねぇ。 そんな工夫がないことはしないですよねぇ」と挑発を浴びせられ、まんまとその挑発に乗ってしまった 私は、「まさか。そんなことはしないですよ。今年は去年よりも盛り上げますよ。」と答え、 障害物競走を役員会で提案しました。T役員から、「そういう競技は男女ペアでやってもらった方 がおもしろいですよ。」と少し笑みを浮かべながら提案を受けたので、ペア競技に修正して、 実施する運びとなりました。

障害物競走の内容は、男女ペアになってボール運びをした後、手押し車でしばらく進み、 最後に飴食いで両方のペアが飴を口に含めたら、一緒にゴールというものでした。競技内容は ごくごくシンプルで何にそんなに準備が大変なのかと思われるかもしれないのですが、大変 だったのは、ボール運びに使う「ボール」を手に入れることでした。

地方に出張が続き、なかなか運動会の準備が出来ない日々が続いたのですが、ようやく 2月頭頃に時間が出来ました。早く障害物競走で使い道具を買いに行かなければと、ボールが 買えそうな場所をカンボジア人スタッフに聞き、まず職場の近くのPBCに行きました。 するとシャッターが閉まっており、カンボジア語で張り紙が貼ってあります。「中華正月のため 2月5日までお店を閉めます。6日からは通常通り営業をします。ハッピーニューイヤー!」。 ショックを隠しきれないまま、IBCなら空いているかもしれないと思い、IBCに行きましたが、 同様の張り紙が貼られていました。「おいおい、ここはカンボジアだろ!ふざけるな!なにが 中華正月だ!」と怒りがこみ上げてくるのを抑え、冷静に考えました。そういえば、一般の プサーにも売っているかもしれないと、スタッフが話していたなぁ、プサーはやっているだろうし、 明日スタッフとそっちに行けば買えるかと思い、その日はあきらめて帰ることにしました。

ところがです。次の日そのスタッフとオルセー市場に行くと、異様に静かな感じがしました。 いやな予感がすると近寄ったところ、なんと市場が閉まっています。その信じられない光景に、 愕然としました。ショックを隠しきれない私を励まそうと、別の市場ならやっているかもしれ ないから、そっちに行こうとスタッフが話してくれました。2,3カ所のボールが売っていそうな 市場に行きましたが、ことごとく閉まっています。終いには、運転手が、「中華正月なんだから どこの市場も閉まっているに決まっている。なんていったってこの国の商売はベトナム人と中国人 ににぎられているからな」、とまで言い出す始末。いやー、これは困った、どうしようと思っている と、なんと救世主が現れました。その人は自転車に乗って現れました。皆さんも一度はお見かけした ことがあるかもしれませんが、川沿いなどによく自転車に乗ってビーチボールなどのビニール製の おもちゃを売っている人たちです。ちょうど私が探していた手頃な大きさのビーチボールを自転車 にぶら下げた売人が目の前を通りました。すぐに呼び止めて、このビーチボールか、これより少し 大きいビーチボールを4個ほしい旨を伝えたところ、これより大きいのはなく、この大きさも1つ しかないとのことだったので、仕方ないので、1つ彼から買いました。こうなったらこういった お兄さん、おじさんを見つけて彼らから買うしか方法はないと腹を決め、運転手と二人で2日間 プノンペン中をうろうろしました。しかし結局探せたのはもう一つだけ。みんな謀ったように、 小さめのボールしか売っておらず、口をそろえて出る台詞は、「オルセーに行け」とのことでした。 国民総出で、私という非力な人間を陥れようとしているのではないかという被害妄想に駆られた 時期もありましたが、なんとか別のゴムボールを探し、なんとか競技は実行できました。

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黒木大使 開会の挨拶
選手宣誓

そんな苦労をして当日を迎えた運動会なので、これは何が何でも楽しんで帰ってもらわないと いけないと一人意気込んでおりましたが、そんな私の思いとは全く関係なく、皆さんそれぞれ 一生懸命走り、一生懸命同じ組の人たちを応援して楽しんでいました。

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休憩中1
休憩中2

当日の様子を簡単に以下ご報告します。あまり走る場所が無く、練習も出来なかっただろう 補習校の生徒さんは一生懸命徒競走で50mを走っていました。過去の栄光を引きずって前に出 ようとする心とは裏腹に、体がついて行かないと大人たちも一生懸命走っていました。 炎天下の中1,000m、1,500mを走る方たちには頭が下がる思いでした。皆さんのおかげで 周りは応援で盛り上がることができました。

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短距離走1
短距離走2
短距離走3

家族を中心にグループを組んだ3人4脚リレーでは、 家庭状況の様子がわかるくらい、うまく競技を出来たところ、出来なかったところがありました。 うまくできなかったご家庭は、家族の団らんを増やすことをおすすめします。

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三人四脚
???

パン食い競争に 参加した生徒さんたちは、つるつる滑るパンのビニールに苦戦していました。運が左右する 競技なので、残念ながら順位が上じゃなかった皆さんもがっかりする必要はないですよ。

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パン食い競争1
パン食い競争2
パン食い競争3

玉入れは、せっかく新調した玉が破れてしまうほどに、激しい競技となりました。また、 玉入れのかごを持つお手伝いさんに玉が降り注ぎ、痛かったようです。来年はプロテクター を導入した方がよいかもしれません。中学生以下の綱引きは一目見て体格の違いがわかる くらい白組有利に組み分けされていましたが、破れた紅組の皆さんが潔く負けを認めている 姿が印象的でした。

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玉入れ白
綱引き赤

障害物競走は、私の努力の甲斐もあって、なかなか盛り上がりを見せました。 ただし、飴食いの箇所で小麦粉を大量に吸って、咳がしばらく止まらないなどの健康被害も 一部あったようなので、来年はマスクをして競技するなどの工夫が必要かもしれません。

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障害物競走1
障害物競走2

借り物競走はY役員が自分の組に有利なように、他の組の控えテントに乗り込み、便宜供与を 謀っていたのではないかとの疑いが生じましたが、真相は依然謎に包まれたままです。 スウェーデンリレーは、ずるの疑いがかかったY役員に代わってK大使が参加されましたが、 非常に走るのが速く、みな一様に目を丸くして見ていたのが印象的でした。

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スウェーデンリレー1
スウェーデンリレー2

団体競技は全て?ほとんど?勝った白組ですが、個人の力が勝った紅組が80点ほどの 差をつけて、優勝しました。紅組に優勝杯が手渡されましたが、優勝杯は通常誰の目にも 触れられることが無く、いつも倉庫に眠っているそうなので、優勝した紅組の方で、 持ち回りで飾っていってほしいものです。

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表彰式

最後に、運動会をお手伝いしてくださった方に多大なる御礼を申し上げたいと思います。 補習校の保護者の方には、組み分けや競技の参加者の割り振りなど、本当に多大な時間をかけ、 お手伝いくださいました。JICAの職員や協力隊の方、NGOの方には当日の競技運営をお手伝い くださりました。ノースブリッジに住まわれている皆さんには前日の会場設営や借りるため の交渉などお手伝いくださりました。皆さんの協力なしにはうまくいきませんでしたので、 本当にありがとうございます。そしてまた来年もお願いします。。